今シーズンの当院におけるインフルエンザのデータの集計
ウイルス型はA型が379名でB型が8名。
小児の感染が大半を占めています。(感染者の年齢の分布は上の表を参考にしてください。)
最年少が3ヶ月の乳児で最年長が69歳でした。
治療方法の選択は・・
1位 タミフル 73.6%
2位 リレンザ 19.6%
3位 無投薬 6.5%
4位 シンメトレル 0.3%
でした。今シーズンのインフルエンザは型にかかわらず治療薬が非常によく効いたのでタイミングよく診断・治療を開始できた人はほとんどが2日以内に解熱したようです。
タミフルなどの治療薬と異常行動・言動に関して・・
成人では異常は一人もありませんでしたので、19歳以下の280症例に関する検討です。
軽い異常言動(うわごとが多いとか一晩中寝言を言い続けたなど)を含めると、合計33名の報告がありました。確率にすると未成年の12%弱が何らかの異常を訴えたことになります。
その大半が、発熱から24時間以内でまだインフルエンザの診断がつく前の何も薬を飲んでいない状態でおこっていました。
特に4歳以下の異常報告12名は全員がこのタイプで、高熱によるせん妄状態(熱せん妄)だったと思われました。4歳以下では7-8人に一人がこのような状態になっています。
5−9歳でもやはり8人に1人ぐらいの割合で何らかの異常がありました。
これも治療とは無関係の熱せん妄と思われる人がほとんどでした。
リレンザ使用者で1名、タミフル使用者で1名かなり強い幻覚・妄想がありました。
また1名タミフル内服中の人で、意識がもうろうとして緊急入院になった方がありましたが高熱による熱せん妄ですぐに回復したとの報告をうけています。
いずれもはっきりした因果関係はわかりませんが、治療薬がこのような症状を増強させた可能性は否定できません。
また、インフルエンザに対しては無治療で経過をみたなかにも異常行動はでています。
症状としては強い幻覚や徘徊です。
確率としては投薬者よりも多い6名に1人の割合で出ていますし、異常期間も投薬した人たちより長く続く傾向がありました。(無治療の場合は確率としては投薬した人の約3倍の頻度で何らかの異常がみられています。この傾向は当院だけでなく伊丹市全体の統計でも同様でした。)
最も危険な飛び降りにつながる、徘徊・駆け出しは合計3名の報告がありました。
タミフル内服中が1名、リレンザ使用中が1名、無治療で結果観察中が1名でした。
今回の統計では治療内容とは無関係にある程度の確率でこのような症状を伴うことがあると思われました。
今シーズンのようにタミフル、リレンザが非常によく効く年のインフルエンザに対しては積極的にこれらの薬で治療をするほうがよいと考えます。
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