医院でのインフルエンザ患者さんへの治療方針
(タミフル処方に関する方針も含む)(2008年12月)

12月23日追加
10歳代のインフルエンザに関して・・・
基本的に無投薬のつもりでしたが、これまでに出た10代の患者さんのほぼ全員が
なんらかの治療・投薬を希望されました。
治療希望の場合には原則としてリレンザを処方しています。
今のところ、タミフルと同様の効果が得られておりますし特に強い副作用の報告はありません

基本的には昨シーズンの終盤と同じ方針です。

現在、日本で認可されているインフルエンザ治療薬は以下の3種類です。
1.タミフル(内服薬;1歳以下と10歳代は処方できません)
2.リレンザ(吸入薬;今のところ制限はありませんがタミフルと同じ薬効の薬です)
3.シンメトレル(内服薬;A型インフルエンザに対してのみ適応)

薬が必要な場合は原則としてタミフルを使用します。
今のところ制限のないリレンザですが、タミフルと同様の薬であり危険性は変わらないと考えています。
10歳代でどうしても薬が必要な場合のみ、処方を考慮します(在庫数が少ないので処方できないこともあります)

A型インフルエンザにだけ有効なシンメトレルは本来パーキンソン病の治療薬である薬剤です。
有効な薬ですが、この薬を使うと3−4日でインフルエンザウイルスは変異をして薬剤耐性になります。
(この薬を内服していた人からうつった人の場合は、シンメトレルはまず効きません)
今シーズン流行しはじめたAソ連型は久々の流行なので、今は効果がある可能性もありますがシーズン中盤には全く効かなくなると予想されます。(昨シーズンまでに流行ったA香港型には95%以上効かなくなりアメリカでは予防にも治療にも処方禁止が通達されています。) 元来が脳に作用する薬なので中枢神経系への副作用の可能性もタミフルより高いため医院では積極的に処方することはありません。

その他にもインフルエンザに有効な可能性が言われている漢方薬もありますが、効果、副作用ともはっきりしないので現時点では医院では処方しません。

年代別にわけて対応の基本方針を示します。
1.20歳以上の成人;インフルエンザについて、タミフルについて説明した後に患者さん自身で内服するしないを決め  て貰っています。原則として他のインフルエンザ治療薬(リレンザ、シンメトレルを処方することはありません)
タミフルを内服するか、対症療法による自然経過かのどちらかになります。

2.10歳代の未成年;対症療法のみでタミフルの処方は行っておりません。
           リレンザの処方も行いません。
           どうしても処方が必要な方には(リレンザ、シンメトレルの処方を)その都度考えます。

3.〜9歳の小児;特に5歳以下ぐらいの幼児ではタミフルによる危険性よりもインフルエンザの悪化による脳症の危険性が高いと考え基本的にはタミフル内服をすすめています。いずれの場合でも現在医療機関としてわかっている情報を全て提示した上で最終的には御家族に判断をしていただいています。

タミフル内服後、及びインフルエンザに伴う症状などで何か気になる変化がありましたら、医院または緊急連絡先まで連絡をください。報道されている10歳未満での異常行動や異常言動などですが、タミフルを内服する前の受診時の問診で前の晩にそのようなことがあったとおっしゃる方が昨シーズンはたくさん50人以上はいらっしゃいました。
インフルエンザとしては特に珍しい症状ではなくよくあることだと思って下さい。
タミフルを内服しない場合でも最初の2日間は保護者の監視が必要であることを覚えておいて下さい。

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