アレルギーとは?日本アレルギー学会認定専門医 林 伸樹
ちょっと難しい話もあるかもしれません。
わからないことや、興味のあることがあれば遠慮なく問い合わせて下さい。
目次
1.はじめに
2.アレルギー反応のメカニズム
3.抗アレルギー薬について
1. はじめに
学問的にはアレルギー反応はI 型からIV型までの4つのタイプに分けることができます。
この中で狭い意味で一般にアレルギーと言っているのは主にI 型アレルギーです。
リウマチや甲状腺機能亢進症や低下症、SLEなど多くの自己免疫疾患も
II型やIII型のアレルギー反応によっておこる病気なのです。
ほとんどの人が受けたことのあるツベルクリン反応。
注射したところが48時間後ぐらいに赤く腫れますね?
どうしてでしょう?これもアレルギー反応の一種です。(IV型アレルギー)
一部の接触性皮膚炎(うるしなど)や薬剤アレルギーにはこの反応が原因のものがあります。
アレルギーと言っても色々あるのがわかってもらえたでしょうか?
免疫反応;抗原と抗体とは
a) I 型アレルギー
IgEという抗体がこの反応の主役です。
体内に入ったアレルゲンに対してまずIgEが作られます。そのIgEが肥満細胞、好塩基球という
細胞の上に結合します。この状態にアレルゲンが再度入ってくると、この細胞の上でアレルゲンとIgEが
結合して細胞内のヒスタミンなどの化学物質が放出されI型アレルギー特有の症状が起こります。
この反応はアレルゲンの進入からごく短時間ではじまる(15分程度)のが特徴です。
アナフィラキシー、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などではI型アレルギーが重要な役割を果たしている
のは確かですが、アトピー性皮膚炎や喘息などではこのI型アレルギーだけでは説明がつかないとされています。
b) II 型アレルギー
II型は細胞表面や組織にあるものを抗原と認識しIgGやIgMという抗体が反応を起こします。
(自己に対する抗体=自己抗体)リウマチ、甲状腺機能亢進症などが代表例です。
IgMやIgGと言った抗体は通常のウイルスや細菌感染の排除に非常に役立つ抗体ですし、予防接種によって
誘導される抗体でもあります。しかし自己の組織に対して攻撃的に働くとこのような病気を引き起こす
こともあるのです。
c) III 型アレルギー
III型アレルギーもIgMやIgGが関係していることが多いです。
抗原と抗体が結合してできた物質(免疫複合体といいます)と補体という物質の作用によって肺や腎臓などの
組織障害が起こることがあります。急性糸球体腎炎、過敏性肺炎、SLE(全身性エリテマトーデス)などの
病気はこの反応が関係しているとされています。
d) IV 型アレルギー
抗原に感作されたT細胞が再度侵入してきた抗原に対して炎症反応を起こします。
体内に入ってきた抗原を認識しT細胞がその刺激を受けて活性化されるまで時間がかかるため、抗原が
入ってから24−48時間後に反応はピークを迎えます。そのためこの反応は遅延型過敏反応と呼ばれています。
ツベルクリン反応や一部の薬剤アレルギーなどはこの反応によっておこります。
3.抗アレルギー薬について
アレルギー疾患治療薬としては多くの種類があります。
抗ヒスタミン剤(1世代)、抗アレルギー剤(化学伝達物質抑制剤、2世代抗ヒスタミン剤)
ロイコトルエン拮抗薬。注射、内服、外用、局所用など各種のステロイド剤。
喘息ではテオフィリン製剤、β2刺激薬というものも使われます。
ひとつひとつに特徴があり目的に応じた使用が必要です。